先日国家公務員を退職したことで人間関係のしがらみから解放されたと同時に、人生の目標を失った俺は、何かを求めて一月間タイを放浪していたんだけど、その際に使っていたリュック(以下バックパック)の使い勝手が良かったので紹介したい。
今回の旅は、一人旅と言ってもバンコク市内のドミトリー宿(ホステル)を回っていただけなんだけど、このバックパック一つで十分快適な旅ができた。今回はその経験から、同じように格安航空を使って、安く、身軽な旅をしたい人にこのバックパックを紹介したい。
なぜバックパック一つで旅に出るのか
まず1か月の長期旅行をするに当たって、あえて荷物をコンパクトにする必要があるのかという意見がある。この点について、俺はバックパック1つで海外旅行に行く方が良いと思っているので、その理由を2つ紹介したい。
管理コストの最小化
荷物を最小にすることで、管理コストを削減できる。
例えばキャリーケースをもって旅に出たとき、飛行機やバス、タクシーに乗る際、荷物をトランクに預けなければいけない状況が発生する。当然預けている間は自分の管理を離れることになるので、盗難対策や防犯措置をあらかじめ考えなければならないし、乗車中は盗難されないかずっと注意を払わなければならない。
また、俺の泊まっていたようなドミトリー宿にある貴重品入れはどれも小さく、キャリーケースが入る大きさではないことがほとんどなので、荷物が多いと貴重品管理により神経を使う。よく欧米人バックパッカーがドミトリーの貴重品入れに入らなかったキャリーケースを、共用スペースに直置きしているが、こうなれば当然、盗難やいたずらの危険を排除できない。
バックパック一つであれば、公共交通機関の利用時にも自分の支配下に荷物を置くことができ、防犯対策が容易である。さらにドミトリー宿内でも、貴重品入れに丸ごとバックを預けることができるので、無駄な防犯対策や心配をする必要はない。バックパック1つしか荷物が無いので、背中の荷物のみに防犯の注意を払っていればいいという点で、防犯に割く頭のリソースを最小限にできて快適である。
移動時負担の軽減と旅行計画の自由度向上
宿までの移動の際に一緒にキャリーケースを運ばなければならないのはとにかくめんどくさい。荷物を手で引っ張らなければならないので体力の消耗にも繋がる。片手がふさがることからも、荷物を持ったまま観光をするという計画を策定しづらく、旅行計画の自由度を失うことにも繋がる。
バック一つで旅行に行くことで両手が空くので、宿までの道のりも快適に観光が可能となる。
LCC(エアアジア)の機内持ち込み手荷物基準の目安は30ℓ
LCC国際線の機内持ち込み荷物の大きさは56×36×23㎝、重さは7㎏以内(エアアジア)。この大きさに相当するのが30リットル前後のバックパックとなる。格安航空でバックパック一つで旅をするなら、この荷物サイズを厳守しなければ超過料金を取られて本末転倒。なので今回のようにLCCを使ってバックパック旅をするときは、サイズを絶対(前提)条件として検討する必要があった。
選んだのはカリマーのハイランズ32
俺が使っていたのはカリマーのハイランズ32というバックパック。これは「可もなく不可もないミニマムなのに大容量」のバックパックで、総評するなら普段使いでは10点中6点、海外旅行では10点中8.5点と言える。
ハイランズ32は収納は多いが、小さく黒いので、全体的にシャープでスマートな印象のバックパックである。ロゴは目立たないが下部に黒で小さく書かれている。派手なデザインを嫌う日本人の好みに合致している。
カリマーとは
出典:karrimor公式HP
1946年にイギリスで誕生したメーカーで最初はサイクルバックメーカ-として創業した。現在はその機能性から登山家にも愛用されるリュックサックを手掛けている。
カリマーのブランドロゴが印象に残る人も多いのではないだろうか。イギリス国旗の右半分を着色し、Kのロゴを浮かび上がらせたデザインである。
サイズ感
実寸サイズ
一人旅に必要最低限な荷物を詰め込むと実寸サイズは下記とおりであった。因みに写真に写っているメジャーのサイズは写真撮影が斜めからであることから、実寸サイズと一致しない。下記記載の実寸サイズは実際に俺が目で確認した。サイズは概ねカタログスペック通りとなった。
縦53cm
横35cm
高さ23cm
荷物は下記の荷物を詰め込んだので参考にしてほしい。荷物が少なくて済むのが南国旅行の特権であるため、この荷物で充分間に合う。また、普通の人はPCが無い分、より少ない荷物で旅行ができると思う。
荷物リスト
・5日分の衣類(圧縮袋あり)
・PC、モバイルバッテリー、大容量HD、SDカード、GoPro、GoProマウント、充電ケーブル等
・アメニティ(200㎜×200㎜のケース+100ml以内の液体容器)
・歯ブラシ、常備薬
・眼鏡と財布の予備
・筆記具と国際運転免許証等の書類
・その他小物等
詰め込んだらこんな感じになった。実際のところ少し余裕があるが、現地では十中八九荷物が増えるので、旅行中はいい塩梅になった。
カタログスペック比較
バックパック購入にあたって、他にも3つのブランドのバックパックを検討した。それぞれのカタログスペックは下記のとおり。
メーカー | カリマーハイランズ32 | アークテリックスマンティス30 | グレゴリーコンパス30 |
容量 | 32ℓ | 30ℓ | 30ℓ |
縦 | 53cm | 55cm | 51cm |
横 | 31cm | 34cm | 34cm |
高さ | 21cm | 24cm | 20cm |
重さ | 910g | 1200g | 685g |
注目すべきは容量の多さ。ハイランズの縦横高さはエアアジア機内持込み手荷物基準に合致している程コンパクトである上、容量が他のバックパックと比較して2リットル多い。
俺がハイランズ32を選んだ理由
LCC機内持込み手荷物サイズのバックパックの中で収納力が圧倒的
ハイランズ32は先に述べたようにLCCの国内線の機内持ち込みができるほどコンパクトだが、32ℓと大容量を確保している。この規格で32ℓの容量を出せるバックパックは上記の3社比較で見たとおり中々無い。
実際に荷物を詰め込んで使用したが、上記写真でもあるように、かなりの荷物を収納でき、容量に関して不満はなかった。このバックパックは材質をシャカシャカのポリエステル材質にすることで、薄さと軽量化を実現し、容量を確保している。
防犯性
ハイランズ32には、盗難防止機構(1箇所)及びカラビナフック(上部左右2箇所)がついており、防犯性が高い。
メイン収納の防犯機構
ファスナーをこの機構に通すことで容易にチャックを開けれないようにすることができる。
カラビナフック
カラビナフックは単にカラビナを接続するだけでなく、カラビナにファスナーをかませることで、そのポケットを簡単に開けさせないようにすることができる。
カラビナフック左
カラビナフック右
このようにカラビナフックと盗難フック防止機構を駆使すれば、下記写真のとおり、矢印の先にあるポケットを簡単に開けさせないようにできるから、スリを防止できる。ワンタッチで開けられる心配がないため、少し安心である。
pcポケット
PC作業をする人にとって、必須のディテールであるPCポケット。15.6インチのPCが余裕で収納可能なPCポケットが付いてる。
ただ、ポケットの内側(荷物側)にはクッション性があるが、背中側のポケットにはクッション性が全くないため、持ち運ぶのに少し不安であった。
ディテール
ここではディテールについて紹介する。ハイランズの外ポケットは全部で5つ。
右サイドポケット
チャック付きでパスポートや財布、携帯、国際運転免許証などを入れることができる。背負った時に脇腹付近にポケットが来るが、背負いながらのアクセスはできない。
左サイドポケット
チャックはついておらず、伸び縮みできるゴムがついている。1ℓペットボトルの大きさにも対応できる(写真はサバスプロテインシェイカー)。このポケットは専ら飲み物若しくは折りたたみ傘の収納スペースと考えて良い。ゴムの可動域が広いことから、容量の大きい物を収納することができるだけでなく、屈んだときや横になった時でも、収納していた物が落ちないところが便利。
上部
上部ポケット内にポケットは3つある。そのうちの一つが写真のように起毛仕上げとなっている。メーカー説明ではここにサングラスを収納できるとのことだが、俺は怖くて眼鏡を入れることができなかった。代わりにgoproを収納したが、起毛があることでレンズ傷を防ぐことができた。起毛は思ったよりもしっかりしていて、壊れ物を入れても安心できる印象がある。また、goproであれば横に2つ収納できる程の大きさがあり、容量もかなり大きい。
残りの2つの収納はポリエステルの布(シャカシャカ)で仕切られているのみであり、耳栓等の小物関係を収納できる。
また、鍵フックがついているため、普段使いとしても使える。
前面
内ポケットが1つある。A5サイズの書類が入る大きさである。かなり広いポケットである。
メイン収納部分
2つのファスナーがついている。全開にすると収納部分に対して8割程開くことができ、どこに何が収納されているのか一見して分かる構造で中身を取り出しやすい。
内ポケットは下記の5つある。
サイドポケット
メイン収納内部にも、ペットボトルや折りたたみ傘を収納するポケットがある。
PCポケット、タブレット収納ポケット
PCポケットについては、先述のとおり。その上部にタブレット収納ポケットがついている。PCを入れるとその厚みでタブレット収納部分を圧迫するから、今回のようにPCを入れた場合、外付けHDを入れるのが精いっぱいであった。PCの他にタブレットが入るかは不明。
メッシュの小物入れ(チャック付き)
PCアクセサリーやコンセント類、充電ケーブルが収納可能である。
チェストストラップとウエストベルト
胸部と腰部にストラップがついている。かなりしっかりした作りで、さすがは登山ブランドと思わせてくれる。使用感としては伸縮幅が大きく、かなり体に密着させることが可能で、走ったりする場面で快適であった。登山等の動きのある場面で活躍すると思う。
背面、キャリーケースとの結合
背面のクッション性については不満が無いくらい。
キャリーケースのハンドルを通す機構もついている。
悪いところも
一か月海外で使用してみて、悪かったところもある。
pcポケットのクッション性がない
ハイランズのpcポケットは荷物側(収納側)の側面にクッションがあるのに対して、背中側にはクッションが一切ついていない。背中に入っている鋼板がそのままあり、叩いたらコツンコツンという音がする。これがとても不安であった。
とはいえ、バックにPCを入れて一か月間歩き回っていたが、PCが壊れることはなかったので、雑に扱いさえしなければ問題はないと思われる。
防水性が皆無
ハイランズの防水性は皆無で、防水をしようと思うと別売りのレインカバーを買わなければならない。レインカバーは税込み5,940円。レインカバーを別に買うなんてめんどくさいことはしないので、雨の日に使うには向いていない。11月のタイでは乾季で雨が少ないことから俺は問題なく使用できたが、使用するシーンは限られる。
素材が安っぽい
作りはポリエステル感が強く、安っぽい。いわゆるシャカシャカ材質。材質を薄くすることで、バックパック容量を上げているからこれは難しいところ。容量をとるか高級感をとるか。
一方でこの材質は、汚れをふき取りやすいというメリットもある。一か月使用して何度か汚れたことがあるが、全て水拭きで汚れが落ちた。アークテリックスのアローなんかは、一度ついた汚れは落ちにくいから、この点において旅行向きであると感じる。
最後に
海外旅行が身軽に行ける「バックパック旅」。管理コストとストレスを軽減できるので、是非ともこのバックパックで試してみてほしい。
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