今月で俺が民間企業に勤めて1年程となる。公務員を6年半勤めていた俺が、民間企業に1年間勤めることで、初めて見えてきたこともあるので、ここでは退職前に抱いていた理想と民間企業に転職して見えてきた現実について特に俺がギャップに感じたことを綴っていきたい。
転勤は悪ではなかった

国家公務員に務めていた6年半で俺は計4回引っ越しをしてきた。引っ越し先の都市の規模は、大都市~2万人程度の小規模都市と様々で、一回の引っ越しで約500kmも移動することがあった。公務員に勤めている時は、2年前後で転勤で発生する職場に対して、自分のライフプランを考える上で障壁になると考えていて、特に下記の要素が嫌で仕方がなかった。
- 定住できないため、退職するまで家を買っても年単位で家に住めない(2拠点生活を強いられる)。
- 家族に引っ越しの負担を強いるか、単身赴任生活のどちらかを強いられる。
- すぐに引っ越すため、インテリアに凝ることができない。
- ネットの固定回線などの契約期間があるものは、引越しの度に違約金や再工事手数料が発生する。
- 知らない土地で生活に慣れるまで時間がかかる。 など
一方で転勤のない民間企業に勤めてみて、下記の点で転勤や異動は悪ではないと感じるようになった。
苦手な人と離れられる機会になる

転勤は苦手な人と離れられる機会になる。俺のいる民間企業は中小企業でそもそも規模が小さいため、支店を持っていないし、部署異動の機会もほぼない。テレワークの制度はあるものの、基本的には一か所の拠点で全従業員が仕事をしているため、近くに苦手な人がいる場合には基本的にその人と離れることができない。苦手な人が近くにいても、極力関わらないようにするなど工夫すればストレスは緩和できるが、業務上頻繁にコミュニケーションが必要となる人(例えばパワハラ上司、チーム内の人間など)が苦手である場合には特に異動の少ない中小企業において、その人と離れる手段が休職や転職しかない。
俺の勤めている会社の離職率はめちゃくちゃ高いが、実際に転職をしていく人間の内情を聞くと、やはりその原因が人間であることが多く、嫌な人との人間関係解消の逃げ道が転職しかないことが見受けられた。
中小民間企業はこのようなリスクが存在するが、転勤が頻繁に行われる国家公務員の場合には、転勤をきっかけに苦手な人間との縁を切ることができる。このことが離職率を低く抑えている要因の一つにもなっているのではないかと思う。
仕事に対する気持ちの転換点になる

同じ仕事をする上で同じ場所同じ業務をしていると、どこかで楽をしてしまったり、怠惰に流れてしまったりする。仕事に対してメリハリがなく、仕事の生産性も下がってしまう。
転勤があることで、業務に変更はなくても自分の中の気持ちに一区切りをつけることができ、心機一転新たな気持ちで仕事に取り組むことができる。やっている仕事は変わらなくても、気の持ちようが変わることで生産性も上がるような気がしている。
期限付地方移住ができる

地方で生まれ育った人間が都会に出て来ることは良くあるが、都会に生まれた人間が地方に移住することは少ない。都心から地方移住がプチブームになっている昨今において、地方移住は何かと敷居が高いと思われるが、その敷居を高くしている要因の一つが地方特有の村社会に適合できるかどうかといった不安であると思う。転勤であれば地方に定住する訳ではなく、長くても2~3年のお付き合いになるだけなので、面倒なご近所付き合いなどに気を使わなくもよい。そんなメリットと同時に地方ならではの食やアクティビティ、文化などに触れることができるので、メリットは大きい。地方の生活が合わなければ住居を変えることができる転勤は、疑似地方移住として、新しい体験を得ることができ、他の人には体験できない体験をすることができるものであったと感じる。
マネジメントが手厚くなかった

自分の就職した中小企業はベンチャー企業であることもあって、が公務員の時と異なり、管理職によりしっかりとした手厚いマネジメント体制が構築できていないと感じる。ベンチャー企業は性質上、主に新規事業開拓にリソースを割く必要があり、上司においても教育できるだけの仕事のやり方定まっていない他、人員も圧倒的に足りない。その上で新規の仕事は入ってくるので、管理職が一プレイヤーとして、プロジェクトに参画していることが多く、管理している余裕がないと感じる
公務員の時の上司は基本的には現業の仕事はせず、現業で働く部下の仕事の管理がメインで働いており、部下の進捗管理や教育体制などがしっかりしていたが、民間ベンチャー企業の上司には、プレイヤーであるため、部下を同僚と同じような目線で仕事をしている人が多いと感じる。このため、上司のマネジメント意識がや部下の育成の意識がかなり薄く、仕事のインプットや高効率化などはかなり自力が求められると感じる(当然上司にもよる)。
これは恐らく中小企業特有な性質であるとは思うが、公務員とは大きく異なる点であると感じる。未経験でのハードルが高いため、これが新卒でベンチャーに就職するのは悪手だと言われる理由なのだと感じた(俺がいた企業だけかもしれないが)。
みんな退職に躊躇がなかった

俺の今いる会社は期首から2か月で8人が退職し、このままいくと一年で半数の従業員が入れ替わるかなり離職率が高い会社である。
今まで退職していく人間と仲良くさせてもらってきたが、それぞれの人間の話を聞いていると、公務員と違って退職に躊躇がないと感じる。年齢が若く、今まで民間企業を渡り歩いてきているといった事情もあるとは思うが、印象的なのは自分の自己実現のために自分で動くことに躊躇いがないということである。みんなが「自分の理想の実現」や「不満のある現状の克服」には自分が動き、自分の手で掴まなければ手に入らないという考えを前提にしており、その考えのもと果敢に行動している。
この考えと姿勢、世界観は、公務員の時に散々見てきた愚痴だけで何も動こうとしない人たちの世界とは全く異なるもので、俺にとって刺激的であった。
後悔することはなかった

新卒で長年勤めていた公務員を辞めたときは、周りの強い反発もあり、退職をして「後悔しないか」ということが不安であった。退職後3か月が経過した時に、一度「後悔がないか」という観点で心情を書き出した記事があるが、その時は後悔はしていなかった。
今回民間企業に一年間勤めてみて、公務員を退職したことに後悔があるかについて考えた。
実は今の民間企業では公務員時代に見たことがない位のパワハラ上司がいる労働環境だ、結論として、後悔はしておらず、前の職場の方がよかったとはなぜかならない。
労働環境だけ見れば悪化しているのにもかかわらず、退職後3か月の心情と同様に、後悔の念が出てこないのは、間違いなく前回の公⇒民の転職が「自分の意志で選択している」からであると感じる。自分で自分の人生の舵を切っているという事実と経験が、自分の退職という選択に対する結果を腹落ちのあるものにさせてくれている。この考え(感覚)は、周りに流され何となく就職した公務員時代には持つことができていなかった考え方であり、おそらく、今後長い間変わらないと感じる。
民間企業一年勤めてみて公務員を辞めたことを後悔しなかったことは、自分にとって良いギャップであった。仮にたとえ、今後更に歳を重ねた段階で後悔をする時が来た場合でも、それはあくまで「結果論」の話であり、人生の舵を切った自分の選択に間違いがなかったと言えると思う。
コメント